サルフェーションとは?フォークリフト鉛バッテリー劣化の原因・仕組み・対策を徹底解説

はじめに
フォークリフトを日常的に使用している現場で、
- フル充電したはずなのに稼働時間が短い
- 以前よりパワーが落ちた気がする
- バッテリー交換の頻度が増えている
このような違和感を感じたことはありませんか。
「年数が経っているから仕方ない」「バッテリーは消耗品だから」と見過ごされがちですが、その不調の背景には、目に見えないところで静かに進行する劣化現象「サルフェーション」が関係している可能性があります。
本記事では、サルフェーションの仕組みと現場への影響を整理し、「なぜバッテリーが早く劣化するのか」「運用のどこを見直すべきか」を判断するための視点を提供します。
サルフェーションとは?鉛バッテリー劣化の正体
サルフェーションとは、鉛バッテリーの放電時に発生する「硫酸鉛」が、電極板の表面に結晶として付着・蓄積する現象のことです。
鉛バッテリーは、充電と放電を繰り返すことで電力を供給しますが、その過程で硫酸鉛が発生すること自体は避けられません。問題となるのは、この硫酸鉛が電極板に残り、徐々に結晶化していくことです。

サルフェーション(硫酸鉛の結晶)は、電気を通さない性質(絶縁物質)を持っているため、電極板を覆うように蓄積すると、バッテリー内部の電気の流れを直接妨げてしまいます。

サルフェーション劣化が進行する仕組み
放電によって発生した硫酸鉛は、適切なタイミングで充電されれば、再び電解液に溶け込み、電気エネルギーとして戻ります。
しかし、
- 充電が不十分な状態が続く
- 放電したまま長時間放置される
といった状況が重なると、硫酸鉛は電極板に残留し、次第に結晶として成長していきます。これがサルフェーション劣化の始まりです。
サルフェーションがフォークリフトバッテリー性能を低下させる理由
サルフェーションが進行すると、鉛バッテリーの性能は確実に低下していきます。
主な理由は、電極板の表面積が実質的に減ってしまうことです。電極板が硫酸鉛の結晶で覆われると、電気が出入りできる部分が少なくなり、結果として以下のような症状が現れます。
・蓄えられる電気量(容量)が減少し、電圧が上がりにくくなる
サルフェーションによる硫酸鉛結晶は、バッテリー内部において抵抗の塊のような存在になります。これにより内部抵抗が上昇し、充電・放電の効率が著しく悪化します。
・充電してもすぐに電力が尽きる
一見フル充電されているように見えても、実際には電気を蓄えられる部分が減っているため、使用開始から短時間で電力が尽きてしまいます。これが、現場でよく聞かれる「最近、バッテリーの持ちが悪い」という状態の正体です。
サルフェーションが「厄介」と言われる理由
サルフェーションが厄介なのは、放置すると硬化し、通常の充電では元に戻らなくなる点にあります。
・発生直後は柔らかく、充電で戻る
放電直後に発生したサルフェーションは、まだ微細で柔らかい結晶です。
この段階で適切に充電を行えば、多くは電解液に溶け込み、大きな問題にはなりません。
・放置すると硬化し、通常充電では戻らない
しかし、充電不足や放置が続くと、結晶同士が結合し、次第に硬く固定化していきます。
一度硬化したサルフェーションは通常の充電では分解されず、電極板を覆い続けるため、バッテリー容量や出力は恒久的に失われていくのです。
フォークリフト現場で起きるサルフェーションの影響
サルフェーションの影響は、フォークリフトの現場では次のような形で現れます。
稼働時間が短くなる
フル充電しても、想定していた時間まで稼働できず、途中で作業を中断せざるを得なくなります。
荷役時のパワーが落ちる
電圧低下により、荷役時のトルクが弱くなり、作業効率の低下やオペレーターのストレスにつながります
作業効率・生産性への影響
結果として、充電回数の増加、予備バッテリーの必要性、作業計画の乱れなど、現場全体の生産性に影響を及ぼします。
サルフェーションを悪化させるNG運用とは
サルフェーションを最も進行させる「過放電」
フォークリフト用鉛バッテリーの運用で、特に注意すべきなのが過放電です。
過放電とは、バッテリーの残容量が極端に少ない状態(一般的に25%以下)まで使用を続ける、またはそのまま放置されることを指します。

この状態では、放電時に発生した硫酸鉛が十分に分解されず、電極板の内部に残留しやすくなります。
特に深い放電を繰り返すと、電極板の深部でサルフェーションが進行し、通常の充電では回復しにくい状態になります。
そのため、「最後まで使い切ってから充電する方が良い」という運用は、鉛バッテリーにとって劣化を早める要因となるケースが少なくありません。
過放電を防ぐための基本対策「補充電」
過放電を防ぐために有効なのが、残容量が大きく低下する前に行う補充電です。
適切なタイミングで充電を行うことで、放電時に発生した硫酸鉛が電解液に戻りやすくなり、サルフェーションの硬化を抑えることができます。
補充電を取り入れた運用は、
- サルフェーションの進行抑制
- バッテリー容量低下の緩和
- 安定した稼働時間の確保
につながり、結果としてバッテリー寿命の延長に寄与します。
サルフェーションを防ぐためのチェックリスト
自社のフォークリフト運用がサルフェーションを進行させやすい状態になっていないか、以下のチェックリストで確認してみてください。
1つでも✓が付く場合、サルフェーションが進行しやすい運用になっている可能性があります。
① 放電状態の管理(過放電の確認)
- □ バッテリー残量が25%以下になるまで使い切る運用をしている
- □放電した状態のまま、長時間放置している
② 充電タイミングの管理(過充電の確認)
- □ バッテリー残量が90~100%状態で充電している
- □ 「念のため」「時間が空いているから」といった理由で充電している
③ 補充電の運用(適正充電ができているか)
- □ バッテリー残量が大きく下がる前に、補充電を行っていない
- □ バッテリーを「0%近くまで使い切る」「常に満充電(100%)」のどちらかに偏った運用になっている
④ 運用の見える化・把握状況
- □ 稼働時間や充電頻度の変化を、記録していない
- □バッテリー劣化は「使用年数」だけが原因であると組織として認識している
サルフェーション対策の考え方
サルフェーションは完全に避けられるものではありませんが、運用次第で進行スピードを大きく抑えることが可能です。
サルフェーション対策の第一歩は、現場で劣化の進行を遅らせる「運用のしくみ」をつくることです。
例えば、
- 過放電を防ぐためにこまめに補充電を実施する等の充放電ルールの見直し
- バッテリーの状態を定期的に把握する視点を持つ
- 感覚や経験だけに頼らず、運用状況を客観的に確認する
といった取り組みを行うことで、劣化の進行を抑え、バッテリーをより長く安定して使用することができます。
まとめ:サルフェーションとは「知らないと進む劣化」
サルフェーションとは、気づかないうちに進行し、鉛バッテリーの性能を確実に低下させる劣化現象です。バッテリーの不調は突然起きているように見えても、その背景では、日々の運用の積み重ねによって劣化が進んでいます。
「今の使い方で本当に大丈夫だろうか?」そう感じたときこそ、バッテリーそのものだけでなく、運用全体を見直すタイミングです。
- 過放電を避ける
- 補充電を習慣化する
- 運用状況を客観的に把握する
感覚や経験だけで判断するのではなく、実際の使われ方を整理し、劣化につながる要因がないかを確認することが、無駄な交換や想定外の稼働停止を防ぐ第一歩になります。
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当社は、バッテリー寿命延命装置「IchouSystem」の販売に加え、フォークリフトのバッテリー運用を可視化・見直すことで、寿命を延ばす支援サービスを手掛けています。
バッテリーの劣化は、必ずしも「製品の性能」だけで決まるものではありません。
充電方法、充電タイミング、過放電の有無、日々の使われ方――こうした運用の積み重ねが、寿命を大きく左右しているケースが多く見られます。
そこで当社では、フォークリフトの使われ方や充電運用を多角的に整理・評価するFOSA(Forklift Operation Status Assessment)診断サービスを提供しています。
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