【営業訪問日記】フォークリフトバッテリー補水管理-液面センサー運用に潜む盲点とは?

はじめに
フォークリフトバッテリーの補水管理において、液面センサーのアラートに頼り切った運用をしていませんか?
「アラートが鳴ったら補水する」「点灯していなければ大丈夫と思う」「担当者ごとに補水頻度が異なる」――こうした運用は多くの工場で見られます。
しかし液面センサーには盲点があり、気づかないうちにバッテリー劣化を早めてしまうケースがあります。
本記事では、佐賀県製造業様の事例をもとに、液面センサー運用の課題と補水管理改善のポイントを解説します。
「現場の補水管理が曖昧」「適切な補水作業方法が分からない」とお悩みの方は、ぜひ読み進めてみてください。
”セルごとで液量にバラつき”が発生?-その理由とは
今回訪問した企業は全国に複数拠点を持ち、フォークリフトは合計で約80台。弊社の延命装置は一部車両で導入済みでしたが、訪問先の工場で新たに3台へ設置しました。併せてバッテリー状態の計測を行ったところ、設置車両3台中2台で水枯れによるバッテリー劣化が確認されました。
計測時にはセルキャップを一つずつ開けていき、フロートの沈み具合によって液量を確認していくと、あるセルは十分に液が満たされている一方、別のセルではほとんど液が残っておらず「セルごとで液量にバラつき」が生じていました。
では、なぜバラつきが生じてしまったのでしょうか?
原因のひとつはそもそも現場での「補水管理にバラつきがあること」と考えられます。
今回、水枯れが発生していた車両の補水作業頻度についてそれぞれ質問を行ってみると以下のようなコメントがありました。
車両①管理者「液面センサーを確認して、3~4日に1回は補水作業を行っています。」
車両②管理者「アラートが出たときのみ補水作業を行っているので、月に1.2回は行っています。」
上記のように作業頻度に差が出ていたことから、それぞれ液量や劣化の進行度合いにバラつきが生じていたことが分かります。
なぜ見逃されてしまう?-液面センサー運用の”盲点”
現場でよく使われる液面センサーの多くは、装着箇所の1セル(あるいは一部のセル)の液位を表示する構造になっており、センサーが「正常」を示していても他セルで液量不足が進行している可能性も考えられます。そのため、センサーの表示だけで「全セルが適正である」と判断するのは以下のようなリスクを見逃す可能性があるのです。
- センサーが「正常」を示していても、監視外の他セルでは液不足が進行している可能性がある。
- センサーに異常が出るまで放置すると、水枯れが発生し急激な劣化を進行させる恐れがある。
- 「センサーが鳴らないからまだ補水をしなくても良い」という誤解が発生しやすい。
つまり、液面センサーは非常に便利な補助手段ですが、それだけに頼る運用ではバッテリーを守ることが出来ないのです。
※製品によってはセルごとの連続監視が可能なBMU/モニタもございます。
今日から実践可能!現場でできる補水作業ポイント
今までの作業方法を1から変更することは、簡単に実現できるものではありません。ですが補水作業のルール化、液面センサーの活用認識の社内統一を進めていくことで水枯れによるバッテリー劣化のリスクを大幅に低減できる可能性があります。
今回は今日から実践可能な補水作業のチェックリストを作成したので、現場での運用改善にご活用ください!
補水作業チェックリスト
- 週1回の全セル目視チェック
週1回の全セル目視チェックを実施してください。全セルのキャップを開け、液量を目視で確認します。
液量確認の際は、以下の補水目安画像を参考にすることを推奨します。
■補水目安画像

- 寒暖差が大きい時期は補水頻度を増やす
鉛蓄電池は、電解液の水分が補充されずに蒸発や電気分解によって減少すると、電解液の濃度変化や極板露出により性能低下・寿命短縮を招きます。特に、昼夜で気温の差が大きい倉庫や、冷暖房が不十分な屋内・屋外作業環境では、水分損失が加速する可能性があるため、通常の給水頻度に加え『液量の目視チェック+記録』によるモニタリングの強化を推奨します。
- 補水業務のルール化
補水作業の担当者・頻度・記録方法をルール化し、属人化を防止します。
当社では、最低でも2週間に1回は全セルの液量を目視で確認し、補水作業を行うことを推奨しています。
また、劣化が進行している車両や寒暖差が大きい時期には水枯れが発生しやすいため、補水作業の頻度を3〜5日に1回へ増やすことを推奨しています。
さらに、現場で補水作業ルールを定着させるため、当社では以下の取り組みを行っています。
- 補水作業を実施した際にチェックシートへ記録し、送付いただく仕組み
- 補水作業状況を確認するための定期的な連絡
これらにより、補水作業ルールの定着化をサポートしています。
まとめ
液面センサーは便利な補助ツールですが、それだけに依存した補水管理ではバッテリー劣化を防げません。
全セルの目視確認や補水ルールの統一といった小さな改善が、バッテリー寿命延長と運用コスト削減につながります。
現場での補水管理に不安がある方は、まずは「センサー依存からの脱却」を意識したルール策定から始めてみてください。
ご相談ください
IchouSystemは、フォークリフト、非常用電源、バイクや自動車などのバッテリー寿命延命装置の製造・販売を手掛けています。
2001年、沖縄県の電力会社様との共同研究で蓄電池再生技術を開発。この技術は高い効果が評価され、全国の電力会社様で採用されるに至りました。
私たちの製品には特許取得済みの独自技術を採用しており、その信頼性と独自性が国内で高く評価されています。特に物流業界や製造業界ではフォークリフトへの導入が進んでおり、バッテリー寿命の延長を通じて企業のコスト削減や運用効率の向上に大きく貢献しています。また、バッテリー交換の頻度を減らすことで廃棄物削減にも寄与し、持続可能な社会の実現にもつながっています。
バッテリー寿命延長や効率的な運用にご興味がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。皆様からのご質問やご相談をお待ちしております。

