フォークリフトバッテリーの「自然放電」の実態とは?対策も詳しく解説

はじめに

皆さんこんにちは!
「最近、フォークリフトのバッテリーの減りが早い気がする」
そんな違和感を覚えたことはありませんか?
実はその原因、自然放電かもしれません。
自然放電とは、バッテリーを使用していない間にも内部で少しずつ電気が失われていく現象のことを指します。
この現象は特に、週末・連休・シフトの谷間など、稼働が止まるタイミングで起こりやすく、気づかないうちに過放電(=電気が減りすぎた状態)を引き起こす可能性があります。
過放電が続くと、バッテリーの劣化や寿命の短縮といったリスクにもつながります

そこで今回は、自然放電の仕組みや実際の現場で起こるリスク、さらに今すぐに実践できる簡単な対策をわかりやすくまとめました。

この記事のポイント

この記事では以下のポイントを解説します。

・鉛バッテリーにおける自然放電とは?
・自然放電がもたらすリスクとは?
・今すぐできる!自然放電による劣化を防ぐ対策4選

現場のバッテリー寿命を少しでも延ばしたい方は、ぜひ読み進めてみてください。

鉛バッテリーにおける自然放電とは?

鉛バッテリーのように、化学反応によって電気を発生させる電池(=化学電池)は、使用していない状態でも内部でわずかな化学反応が進行することがあります
その結果、時間の経過とともに電池内部の電気が少しずつ失われていく現象が起こります。
このように、使用していないにもかかわらず自然に電気が減る現象のことを、「自然放電(または自己放電)」と呼びます。
出典:一般社団法人 電池工業会 電子の仕組みについて

さらに注意が必要なのは、バッテリーを休止している時の温度環境です。
下記の図が示すとおり、バッテリーが高温の環境下にあると自然放電の速度が早まり、電気の減少量も大きくなる傾向があります。

自然放電がもたらすリスク

過放電による容量低下

バッテリーは使わずに放置していても、自然に電気が減っていきます(これを「自然放電」と言います)。
この状態でフォークリフトを使用すると、既に残量が少ないまま稼働を進めることになり、「過放電(使いすぎ)」が起こりやすくなります。
過放電が続くと、バッテリーに蓄えられる電気量(蓄電池容量)が減ってしまい、1回の充電で使える時間が短くなります。

始動できない・突然停止するリスク

電気が不十分な状態で作業を始めると、フォークリフトが起動しない、あるいは作業中に突然電源が落ちてしまうなどのトラブルが発生する恐れがあります。こうした事態が現場で起これば、作業がストップし、納期遅延や人員の手配変更など、大きな支障を招くリスクがあります。

サルフェーションによる劣化の加速

過放電状態が続くと、バッテリー内部の電極板に「サルフェーション(硫酸鉛の結晶)」が発生しやすくなります。
サルフェーションは電気を通さない性質があるため、内部抵抗が高まり、バッテリーの性能が急激に低下します。この現象は時間がたつほど進行しやすく、一度発生すると除去も困難になるため、劣化のスピードが加速します。

緊急時に動かない致命的リスク

夜間や休日の緊急対応時、自然放電によりバッテリー残量が足りていないと、フォークリフトがまったく動かない最悪のケースもあり得ます。
「今すぐ使いたい」時に電源が入らず、復旧にも時間がかかるとなれば、信用問題にも発展しかねません。

寿命短縮による交換コストの増加

自然放電や過放電が頻発すると、バッテリーの寿命は確実に短くなります
結果として、通常よりも早くバッテリー交換が必要になり、バッテリー代や交換作業の工賃など、運用コストが大幅に増加します。
設備費として見過ごせない損失になるだけでなく、予期せぬコストが発生することで予算管理も困難になります。

自然放電を防ぐための対策

適切な保管温度を保つ(目安:15~25℃)

バッテリーは温度が高いほど、内部の化学反応が活発になり、自然放電のスピードが速くなります
保管時は15~25℃を目安に、温度変化の少ない場所を選びましょう。
特に夏場や高温の倉庫では、直射日光や熱を発する機器の近くを避けることが重要です。

長期保管前は満充電・ケーブルの切り離しが基本

長期間フォークリフトを使用しないときは、バッテリーを満充電にしてから保管する必要があります。
さらに、充電器やフォークリフト本体からケーブルを切り離すことで、わずかな電気の流出も防げます。
これを怠ると、自然放電と微弱な電流消費が重なり、バッテリーが過放電になるリスクが高まります。

均等充電でセルの電圧を整える

「均等充電」とは、バッテリー内部のすべてのセルを均一に充電するモードのことです。
長期保管の前に均等充電を行っておくことで、セルごとの電圧のばらつきを解消できます。
これにより、自然放電中の劣化リスクを抑え、再稼働時のトラブルも防げます。
通常使用時は頻繁に実施する必要はありませんが、「保管前」には非常に効果的です。

バッテリー上部の清掃で漏電を防止

バッテリー上部にほこりや汚れがたまると、表面に微弱な電流が流れてしまい、「漏電」が起きる可能性があります
この漏電も自然放電と同様に電力を消耗する原因です。
定期的に乾いた布や専用のクリーナーでバッテリー上部を清掃することで、無駄な電力消費を防ぐことができます。
特に湿度が高い季節は、漏電が起こりやすいため注意が必要です。

まとめ

フォークリフトを扱う現場では、使っていない間にも進行する「自然放電」に注意が必要です。
自然放電が放置されると、過放電・サルフェーションの発生・始動不良・寿命の短縮など、現場の稼働に深刻な影響を与えるリスクがあります。

ただ今回ご紹介したように、
・適切な保管温度の管理
・長期休止前の満充電・ケーブルの切り離し
・均等充電の実施
・バッテリー上部の清掃
といったシンプルな対策を定期的に実施するだけで、自然放電の影響を大幅に減らすことができます
現場での小さな意識と工夫が、バッテリー寿命の延命・トラブル防止・コスト削減につながります。

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IchouSystemは、フォークリフト、非常用電源、バイクや自動車などのバッテリー寿命延命装置の製造・販売を手掛けています。

2001年、沖縄県の電力会社様との共同研究で蓄電池再生技術を開発。この技術は高い効果が評価され、全国の電力会社様で採用されるに至りました。

私たちの製品には特許取得済みの独自技術を採用しており、その信頼性と独自性が国内で高く評価されています。特に物流業界や製造業界ではフォークリフトへの導入が進んでおり、バッテリー寿命の延長を通じて企業のコスト削減や運用効率の向上に大きく貢献しています。また、バッテリー交換の頻度を減らすことで廃棄物削減にも寄与し、持続可能な社会の実現にもつながっています。

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