AGVとAMRの違いとは?導入効果や注目される理由・市場の動きも解説

はじめに
物流業界では、深刻な人手不足や作業効率の低下といった問題が顕在化しています。こうした課題に対応するために、現場における自動化や省人化の動きが加速しており、中でも注目されているのが「AMR(Autonomous Mobile Robot/自立走行搬送ロボット)」です。
この記事では、AMRの基本的な仕組みや導入のメリット、従来型のAGV(Automatic Guided Vehicle/無人搬送車)との違い、さらに導入時に注意すべき点について解説します。
この記事のポイント
この記事では以下のポイントを解説します。
・AMRが注目されている背景とは?
・AMR市場の成長予測
・AMRとAGVの違いとは?
・AMRとAGVを比較
・AMRのメリット・デメリット
・AMR導入の際のポイント
今後の設備投資や業務効率化を考えている方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
AMRが注目されている背景とは?
物流現場において、作業者の確保が年々困難になってきています。特に高齢化や若年層の労働離れにより、現場作業の担い手が減少している現象があります。
加えて、燃料費や人件費の上昇が企業の運営コストを圧迫しており、効率化や自動化への対応が喫緊の課題となっています。
さらに、EC市場の拡大に伴って取り扱う荷物の量は増加し続けていますが、それに対応できる人材や体制が十分に整っていない企業も少なくありません。
その結果、業務が属人化し、作業効率が低下しがちです。実際に2024年に帝国データバンクが公表した「人手不足倒産」の調査によると、2022年には人手不足を理由とした物流業界の倒産件数が20件だったのに対し、2023年には39件、2024年には46件と、年々増加傾向にあります。
このような背景のもと、ロボットによる自動搬送が注目されており、特に環境認識能力を持ち自律的に動くAMRは、従来のAGVと比較して、より柔軟で安全な物流支援が可能な点で大きな注目を集めています。
AMR市場の成長予測
物流現場の課題とAMRへの注目
近年、倉庫や物流現場では人手不足の深刻化に加え、作業中の事故やケガといった労働災害リスクへの懸念が高まっています。こうした課題に対する解決策として、注目を集めているのが自律走行搬送ロボット(AMR)です。
AMRは、安全性・効率性・柔軟性を兼ね備えた技術として、従来のフォークリフトの代替手段としての導入が進んでいます。実際、米国労働安全衛生局(OSHA)の調査によると、倉庫で使用されているフォークリフトの11%以上に事故リスクがあると報告されており、より安全な自動化搬送技術へのニーズが高まっているのです。
市場成長予測
Mordor Intelligence「自律稼働ロボット(AMR)」によると、AMRの市場規模は2025年に約44億9,000万米ドル(約6,420億円)に達し、さらに2030年には約92億6,000万米ドル(約1兆3,240億円)まで拡大する見込みです。年平均成長率(CAGR)は15.6%とされており、非常に高い成長性が示されています。
日本国内でもロボット導入の機運は高まっており、政府の「新ロボット戦略」などを背景に社会実装が進められています。
出典:株式会社グローバルインフォメーション~自律移動ロボット(AMR):市場シェア分析、産業動向・統計、成長予測(2025年~2030年)~
コストと導入の展望
AMRには、AGVと比べて初期導入コストが高いという課題がある一方で、長期的には作業効率の向上や人件費削減といった投資対効果(ROI)が期待でき、多くの企業が導入を前向きに検討し始めています。
とりわけアジア太平洋地域では、物流の高度化ニーズや労働人口の減少といった社会背景が追い風となり、市場成長を力強く後押ししています。
人手不足の緩和、安全性の向上、柔軟な生産体制の構築といった多面的な課題に対応できるAMRは、今後の物流現場における最適解の一つとして、2030年に向けて加速度的に導入が進むと強く期待されています。
AMRとAGVの違いとは?
AMRとAGVは、どちらも自動で荷物を運ぶことができる機械ですが、その動作原理や適用できる現場の自由度には大きな違いがあります。
【AMRの特徴】
AIとセンサーを搭載しており、カメラなどによって周囲の環境を認識しながら自律的に走行します。
そのため、床にガイドを敷設する必要がなく、人の動きや障害物を避けながらルートを柔軟に変えることができます。
AMRは環境の変化にも強く、レイアウト変更にも即座に対応できるため、今後の多様な物流現場に適した搬送手段として急速に普及が進んでいます。
【AGVの特徴】
あらかじめ床に設置された磁気テープたマーカーなどのガイドに従って走行する仕組みで、ルートが固定されているため、倉庫や工場内で決められた動線の中でのみ使用されます。このため、レイアウトを変更する場合にはガイドの敷き直しなどの手間が発生し、柔軟性に欠ける点がデメリットです。また、人と共存するには、安全のために作業エリアを物理的に分ける必要があります。
AMRとAGVを比較
比較表を基に、使用条件や運用スタイルに合わせて最適な自動搬送ロボットを選ぶことが重要です。

AMRのメリット・デメリット
【メリット】
✅レイアウトの自由度が高く、柔軟に運用できる
✅人と同じエリアでの稼働が可能なため、協働作業がしやすい
✅床面にガイドを敷くなどの初期インフラ工事が不要
✅人手による搬送作業の負担を軽減でき、省人化が図れる
【デメリット】
❌AGVと比較すると本体価格が高く、初期投資が大きい
❌センサーやソフトウェアの定期的な保守・更新が欠かせない
❌クラウド経由での制御を行う場合、安定した通信環境が必要
❌走行速度は安全重視のため制限されており、急ぎの搬送には不向きの場合がある
AMR導入の際の4つのポイント
AMRを導入する前には、現場環境や業務内容に適しているかどうかを慎重に確認する必要があります。
①現場環境の手起動を確認する
・通路幅や床材、障害物の有無など、AMRがスムーズに走行できる環境か確認
・段差や傾斜があると停止の原因に
→ 事前の現場調査は必須
②AMRの運搬能力をチェックする
・搬送対象の重量・サイズに対応できるか
・バッテリーの持続時間は、業務効率に直結するため要確認
③他システムとの連携可否を検討する
・在庫管理やピッキング業務との連動運用を視野に入れる場合
・WMS(倉庫管理システム)やERPとの連携が前提となるなら
→ 事前に使用環境のすり合わせを行う
④作業フローを再設計する
・人とAMRが協働する場合は、担当業務の線引きが重要
・誰が何を行うかを明確にしないと、かえって混乱のもとに
→ 作業員への周知・操作教育もセットで実施
⑤導入効果を数値で試算する
・コスト削減や作業効率向上がどれほど見込めるか、定量的に試算
→ 導入判断を客観的に行うための重要な判断材料に
まとめ
AMRは、単なる自動搬送ロボットにとどまらず、現場の人手不足、安全性、業務効率といった複数の課題を一度に解決できる、非常に汎用性の高いソリューションです。
AGVとの違いを正しく理解し、現場の実情に即した準備と検討を行うことで、より高い効果が期待できます。
貴社の物流や工場内搬送の在り方を見直すきっかけとして、AMRの導入は今後ますます欠かせない選択肢となっていくでしょう。
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