フォークリフトバッテリーの緑青・硫酸鉛の原因と対策

フォークリフトバッテリー金属部に付いた物質の正体とは
フォークリフトのバッテリー金属部(端子やケーブル)付近で青緑色や白色の物質が付着しているのを見かけたことはありませんか?
この物質の正体は、使用を続けていくことで発生する錆の一種です。

青緑色の物質は「緑青(ろくしょう)」、白色の物質は「硫酸鉛」と呼ばれます。
どちらも同じ錆の一種ですが、それぞれ発生メカニズムが異なります。
今回は、緑青と硫酸鉛それぞれの発生メカニズムと、見つけた際の正しい対処法について詳しくお伝えします。
緑青と硫酸鉛はどのように発生するのか
緑青と硫酸鉛は発生メカニズムが異なりますが唯一、共通する点があります。
それは「充電終盤に発生するミスト状の希硫酸が起因している」という点です。
2つの錆の発生要因「ミスト状希硫酸」の発生メカニズム
バッテリーは充電終盤になると、内部のバッテリー液(水)が電気分解されます。
これによりバッテリー内では水素と酸素が発生して体積が膨張し、ガスが噴出します。
この際、ガスと共に希硫酸がミスト状になって、バッテリー外部にあふれ出します。
緑青の発生メカニズム
緑青は主にバッテリーの金属部(端子やケーブルの銅線)が腐食することによって発生します
- 放出されたミスト状の希硫酸が、バッテリー端子やケーブル銅線の隙間に付着する
- その状態で電流が流れることで、付着した希硫酸と金属部では化学反応が起こる
- 反応した金属部が酸化し、「硫酸銅」と呼ばれる別の物質へと変化する
こうして変化した物質が「緑青」の正体です。
硫酸鉛の発生メカニズム
硫酸鉛は主にバッテリーのプラス端子付近で、ミスト状の希硫酸が付着・乾燥し、鉛成分と反応・結晶化することによって発生します。
- 放出されたミスト状の希硫酸が、バッテリー上部や端子に付着する
- 時間の経過とともに、付着した希硫酸から水分が蒸発していく
- 水分が失われ、残った成分が結晶化して白い物質が発生する
こうして発生した物質が「硫酸鉛」の正体です。
発生した緑青と硫酸鉛を放置するとどうなる?
発生した物質を放置していると、次のような深刻なトラブルを引き起こす恐れがあります。
接触不良による電圧低下
緑青や硫酸鉛は絶縁体(電気を通さない物質)となり、車両とバッテリーを繋ぐ接点をふさいでしまいます。
その結果、バッテリーから電気をスムーズに取れだせなくなり、結果的にパワーダウンや稼働可能時間(容量低下)を引き起こします。
バッテリー金属部(端子やケーブル銅線)の損傷
緑青の正体である硫酸銅が付着したまま放置し続けると、バッテリー金属部の腐食が進行し続けます。
これにより、バッテリー端子が溶けて縮小したり、ケーブルが断線する恐れあります。
これらは短期的なトラブルだけでなく、バッテリー全体の寿命を縮める慢性的な不調に繋がります。
バッテリー端子に付着した緑青と硫酸鉛の正しい対処法
緑青や硫酸鉛を見つけた際、最も重要なポイントは「安全にきれいに取り除くこと」です。
緑青や硫酸鉛は酸性の物質ですので、作業時は必ず絶縁性の手袋、マスク、保護メガネなどを着用し、吸い込んだり皮膚に触れないよう注意が必要です。
【対処方法の手順】
※作業前に、必ずフォークリフトの電源を落としてください。また、充電時や稼働直後はバッテリーが高温で危険なため、車両を30分程度放置して温度が低下したことを確認してから行ってください。
- 乾いた布で、粉状の緑青を軽くふき取る
- 汚れが固く残る場合は、布を少し湿らせて固く絞った状態で再度ふき取る
- 水分が残らないように乾拭きをする
- 端子やケーブル部分の締結状況を確認する
※金属ブラシなどで強くこすったり、無理やり緑青や硫酸鉛を削らないでください。粉塵が舞い、人体に有害なほか端子やケーブルの損傷に繋がり、バッテリーに致命的なダメージを与える恐れがあります。
【再発を防ぐ防止策】
緑青や硫酸鉛を取り除くだけでは、充電時にあふれ出るミスト状の希硫酸の付着によって再発する恐れがあります。
対処後にはバッテリー金属部(端子やケーブル)にグリスなどを塗布することで、金属面がコーティングされ直接希硫酸が付着することを防止することが出来ます。
まとめ
今回はフォークリフトバッテリー金属部に付着する「緑青と硫酸鉛」についてお伝えしました。
本記事のポイント
・緑青や硫酸鉛は充電時の電気分解によって発生するミスト状の希硫酸が起因となって発生する
・付着したまま放置すると、接触不良による電圧低下やバッテリー金属部の損傷の恐れがある
・発見時には「布を使用しきれいに取り除く」ことが重要
緑青や硫酸鉛は、バッテリーが劣化していることを知らせる重要なサインです。
お使いのバッテリー端子の清掃も定期的に実施してみてください。
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